ジルコニウムもチタンのように人体に無害なのに、広く一般に流通し難いのにはわけがあります。
チタンは空気を浄化したり、有害な紫外線を分解したりしてくれるおかげで建材から食品にまで広く使われています。それに対し、ジルコニウムの10%は歯科義歯などに使われているくらいでジルコニウム入りのファンデーションやジルコニウム入りの歯磨きはありません。
原子力産業協会によれば、日本に輸入されるジルコニウムの90%が原子力産業向けとなっています。日本は核を持ちませんが、原発に利用されています。ジルコニウム、ハフニウムは原子力・核関連資材という位置づけがされています。ジルコニウムの高い融点の利点が活かされています。
安全保障貿易センターによれば、ジルコニウム品の貿易に関しては、若干の手を加えるだけで原子炉の部品に流用できてしまうことから、原子力包括許可制度のもと、ジルコニウム、ハフニウムに対して厳しい目が光っているという事実があります。
日本に対して国際原子力機関が24時間体制で監視していますが、ジルコニウムの貿易に対しても経産省貿易管理部から厳しい規制がかかっていて、材料の流通が容易でないことも高騰に起因している背景があります。
ジルコニウム同様にチタンも海水への耐食性の高さを活かし、原発プラントの海水と接する設備に使われていたりしますが、チタンとジルコニウム、ハフニウムには流通の自由度がはるかに違いがあり、チタンとジルコニウムの流通コストにも反映しているという事情があります。